9月の目次

今月も「ぶ厚い手帳」読んでいただいてありがとうございました。
毎月末日は『目次の日』としております。
アーカイブ、カテゴリー、カレンダーのあるページへは、こちらから
https://baccano21.wordpress.com/

9月1日 (日) なぜ私は三井ホームで…(第1話〜第26話)■目次
9月2日 (月) こんなコピーを書きました① (001〜025)■目次
9月3日 (火) こんなコピーを書きました②(026〜050)■目次
9月4日 (水) こんなコピーを書きました③(051〜069)■目次
9月5日 (木) 一番の日  ■こんなコピーを書きました
9月6日 (金) メモした言葉①(001〜027)■目次
9月7日 (土) メモした言葉②(028〜053)■目次
9月8日 (日) メモした言葉③(054〜077)■目次
9月9日 (月) 10年前は、若すぎました。■こんなコピーを書きました
9月10日 (火)
9月11日 (水)
9月12日 (木) 35、6歳の男  ■ こんなコピーを書きました
9月13日 (金) バッカーノの掟  ■サッカーな話
9月14日 (土) 第27話 見えない部分  ■  なぜ私は三井ホームで
9月15日 (日)
9月16日 (月) オトコには、足りないものがある。■こんなコピーを書きました
9月17日 (火) 足元を見る  ■サッカーな話
9月18日 (水) 樹木医 塚本こなみさんの言葉  ■メモした言葉
9月19日 (木) ウーロン茶を飲むことにした。■ こんなコピーを書きました
9月20日 (金) 広告のない電車  ■ふと思ったこと
9月21日 (土) 第28話 ざけんなよ三井ホーム   ■なぜ私は三井ホームで
9月22日 (日)
9月23日 (月) ビールって92%は「水」なんだ。■こんなコピーを書きました
9月24日 (火) ブレーン10月号  ■サッカーな話
9月25日 (水) バッカーノ、初ブレーン  ■サッカーな話
9月26日 (木) ビールの原材料の話に…  ■こんなコピーを書きました
9月27日 (金) 11代目中村組、募集開始  ■中村組OB会
9月28日 (土)
9月29日 (日)
9月30日 (月) 9月の目次■目次

11代目中村組、募集開始

中村禎の場合

この冊子は、ボクが話す目次のようなものです。年々文字数、増加中。

宣伝会議コピーライター養成講座専門コース中村禎クラス。「中村クラス」だから「中村組」。2003年の10月に始まって今年で11年目。11代目のクラスの募集が始まりました。25人から30人弱の少人数で全10回。申し込みが定員を超えた場合は、選考しなければなりません。そのために事前課題を出してもらうようにしています。課題といっても「好きなコピー」を選ぶだけ。

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課題1:過去のコピー年鑑、あるいはスカットから、
             自分がいいと思うコピー、好きなコピー、3本以上(5本以内)を選び、
             その理由を140文字以内で簡潔に書いてください。
           (ただし、受賞作のコピーは除く。中村禎のコピーも除く)

課題2中村禎の書いたコピーで、好きな1本をあげてください。(できれば理由も)

書き方A4縦位置使い、横書き。
              必ず「手書き」で。右上に名前を記入してください。
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この課題がムズカシかったという人がいたので、その意図を書こうと思います。

例えば、みんなで居酒屋に行ってオーダーする時。
「川海老の唐揚げ!」→「お、いいねえ」
「ポテトサラダ!」「お、それもいいねえ」
「なすの一本漬け!」→「まぁ、いいねえ」
「かにミソ!」→「お、すごくいいねえ」というふうに、
自分も食べたかったものを誰かがオーダーしてくれると
「アイツはわかってるね!」となるでしょ。
それが、あんまり好きじゃないものとか、今はそれ食べたくないものを
オーダーされると、ちょっと困る。それみたいなものなんです。

ボクは自分がいいと思うコピーを基準に話をします。
いいと思うコピーがボクと同じ方向の人の方がボクの話を理解しやすいと思うからです。
だからこの課題は、その人の才能うんぬんではなく、
ボクと気が合うかどうかを見る課題なんです。

コピー年鑑に掲載されているコピーはいいコピーです。しかし、ボクには、
「これはそんなにいいとは思わないなぁ」というコピーもあります。
逆にスカットには、宣伝会議賞は取ってなくても、いいと思えるコピーはたくさんあります。
「これはいいコピーだよね」というのがボクと同じ方が、話が早いと思うのです。
だから、素直に「このコピー好きだなぁ」とか
「こんなコピー書けるようになりたいなぁ」と思うコピーを書いてくれればいいんです。
どこを目指したいのかを知りたいのです。

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テクニックを教える講座でありません。 それよりも、人の気持ちを思い至る想像力と、 いいコピーを選ぶ目を鍛えます。 10年前から変わらない本質と、 今の時代だからこその視点を学びます。 顔と名前を覚えている限り、中村組OBは一生応援します。 そんな11年目、11代目中村組です。
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今年も「エエヤツ」が来てくれるといいな。合宿も盛り上がるだろうし。
OBたちも楽しみにしています。
http://www.sendenkaigi.com/class/detail/copywriter_nakamura.php

ビールの原材料の話に…

00モルツ原材料

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ビールの原材料の話に
なんで「水」がなかったんだろう。

モルツは、天然水仕込み。
2000年  サントリー
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麦芽100%のビールは、缶ビールの原材料のところに「麦芽・ホップ」と書いてあります。麦芽100%じゃないビールは「麦芽・ホップ・米・コーンスターチ」と書いてあります。そこに「天然水使用」と書けばいいのに、と提案した覚えがあります。「丹沢水系」とか「赤城水系」とか。印刷が無理ならそういうシールを貼ればいいのにと。でも、効果とコストなんでしょうね。全然賛同は得られませんでした・・・。ま、ボクらは勝手に思いつきをいいますが、売る現場はもっとシビアなんでしょう。理屈では、どこの水を使っているか、わかったほうがシズルがある。だけど、飲む人は、そんなの関係ねぇ。そんなの関係ねぇ、なのかもしれない。

でもなぁ・・・。試しにやってみてもいいんじゃない? 「丹沢水系天然水使用」というシールを貼ったモルツと、貼ってないモルツ。その二つがあったらシール付きを手にしないだろうか。同じ値段だったら「丹沢水系天然水使用」のほうが売れるんじゃないだろうか。この新聞広告は間違ってないし、この時代の、この予算の広告としてベストだったのかもしれません。でも、もし今思うと、もっとビールの「水」が話題になるような仕掛けが必要だと思います。店頭POPなんかで、もっと効くコピーはなかったか。「丹沢水系天然水使用モルツ入荷!!」とか。

でも、自分で自分のコピーに意地悪なツッコミを入れるとしたら、何て言うだろう。「天然水じゃなくても、あっちのビールのほうがうまいよ」「飲み較べてもわかんないじゃん」「日本は水道水もうまいよ」・・・そうか、やっぱり・・・。

いまでも口惜しいのは、広告で「モルツは天然水仕込み」と言っているのに、商品パッケージのどこにもそれが書いてないということ。広告と商品がつながってないじゃん、ということです。飲んでみて明らかにわかるんだったらいいけど、「へぇ〜これが赤城山系の天然水でつくったビールか」と思ってもらう機会がないということでした。やっぱり、「商品の中に広告は内包されている」べきだよなぁ。

バッカーノ、初ブレーン

FCB初ブレーン2000年頃のブレーンにもFCバッカーノが!

10月号のブレーンで紹介されたことで思い出しました。
設立間もない頃にもブレーンから取材を受けたことがありました。
2000年頃だったでしょうか。ここに記録として残しておきます。
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FACE OFF Vol.18

平均年齢30代後半というサッカーチーム、バッカーノは電通のクリエーティブ局のメンバーを中心に構成されている。そのチームを率いるのが、選手兼コミッショナー兼広報担当の中村禎さん。KDDIのキャンペーンなど、忙しい仕事の合間をぬって、サッカーを楽しんでいる。

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「バッカーノとやると楽しいね」と言われたい
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最初に「サッカーチームをつくろう」と言い出したのは、3CD局の横山準。それで、僕や御倉直文がみんなを誘って、チームの発足会を開いたのが99年の2月くらい。でも実際に練習をするより、まずチーム名とユニフォームを決めなくちゃということになって。なにせネーミングにはうるさいコピーライターがたくさんいるので(笑)みんなに案を出してもらったら、72案も集った。これはなかなか決まらないだろうと思ったので、投票で決めることにしたんです。それで僕が投票の点数の多い順にエクセルで表をつくったんだけど、上位の3つくらいが接戦になってしまった。その時に横山準がアクエリアスのCMで小野伸二選手(当時浦和レッズ)を撮影するというので、じゃあ、小野選手に決めてもらおう。そうすれば誰も文句は言わないだろうと(笑)それで、上位の4案くらいを小野選手に見せたら「これはもうバッカーノ(イタリア語で「大騒ぎ」の意味)でしょう」と言ってくれて決定。それが決まるまで、半年くらいかかった。

そうしたら今度はユニフォームはどうするかという話になって、またプレゼン。一番の問題は背番号だろうと思って、メンバー全員に希望番号を第三希望までとったんだけど、果たしてどうやって公平に決めるべきか。それでまたもや僕がエクセルで表をつくり、出席表を作成したんです。たとえば練習とその後の飲み会にも参加したら3ポイント、アンケートに答えてくれたら1ポイント、とか、出席をポイントで換算していって、最終的にポイントの高い人から好きな背番号をとることにしました。

いま練習に参加しているのは10人くらいなんですけど、そんな感じなんでサポーターも含めて登録メンバーが60人以上(笑)試合をすることが活動のメインなんだけど、たとえばオリンピックとか大きな試合がある時はみんなで一緒に応援しようとか、ボウリング大会をやったり、みんなで楽しもう的な要素も多いから参加したい人が多いみたい。でも、そういうことから参加してもらえばサッカーやフットサルの本当の楽しさがわかってもらえるかなと思ってます。

ところが、まだ1勝もしたことがないんですよ。このチームで初めてサッカーをやった人が多いから、引き分けに持ち込むのがやっと。もちろん勝つことがチームの目的なんだけど、バッカーノとしては楽しくてケガしないということがモットーです。技術や体力が追い付かないこともあるんだけど、ガツガツやってケガするより、下手でも楽しいやり方ってあると思うから、それができればいい。電通テック(現電通クリエーティブクロス)のポリ100というチームやサン・アドのチームとはよく試合をするんですけど、みんな人柄がいいから一緒にやっていてとても楽しいんです。負けても「あのチームともう一度やりたいな」と思う時ってあるし。僕たちは平均年齢が彼らよりも高いから、みんな走れないし、蹴ってもボール飛ばないんだけど、「バッカーノとやると楽しい」と言われるチームになりたいと思っています。できれば60歳くらいになっても続けていたいですね。(談)

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FCバッカーノは1999年2月設立。このブレーンの記事はKDDIの頃だと書いているから2000年10月以降の取材だと思います。ボクが42、3才の頃でしょう。「60歳くらいになっても続けていたい」というセリフが現実味を帯びてきましたかね。

ブレーン10月号

ブレーン10月号079ページです

ブレーン10月号「私のチャージタイム」というコーナーに取り上げていただきました。いろんな制作者の気分転換にどんなことしてますか?というコーナーです。ナカムラはフットサルをやっているらしい、きっとアレが気分転換だ、と白羽の矢が向けられました。

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最初に書いた予定は守る

むかし、仲畑さんの書いたサントリーホワイトのコピーに「いいコピーが、 スッカラカンに書けない時は、 軽く飲んで、早く寝るしかないなぁ」というのがありました。最近思うのは、徹夜して仕事するよりも、ちゃんと寝て早起きした方が、いいコピーは浮かぶんじゃないかということです。

一日中仕事していれば血液もドロドロに汚れて酸欠状態。そんな頭で考えても、いいコピーなんて浮かぶわけがない。そういう意味で、スポーツをして血液をキレイにしてから仕事をしよう、と。

99年2月にサッカーチーム「FCバッカーノ」を立ち上げて、今年で15年目。フットサルは月2回ペースでやっていて、ほぼ皆勤で参加しています。夜の8時から10時の2時間なんですが、この時間は絶対に打ち合わせを入れないと決めています。スケジュールを入れる時、他の仕事が入っていたら許されて、プライベートだと許されないっておかしいと思うんですよ。どっちも大事な予定ですから。

だから僕は、『手帳に最初に書いた予定は必ず守る』というルールを決めたんです。身内に不幸があったとか、仲畑さんに呼び出されたというとき以外、基本的には最初に書いたものを優先するんですね。

一度決めた予定を変えると、芋づる式に他の人も予定をコロコロ変えないといけなくなるでしょ。僕が予定を変えちゃうとまた他の人にも迷惑をかける。そこは仕事もプライベートも対等で、絶対に守るようにしています。

メリハリをつける

チームはとにかく皆がフェアであることを大切にしています。例えばメンバーの背番号を決める時、会社の立場や年齢は関係なく、「参加ポイント」の高い順に優先権があるようにしました。「参加ポイント」というのは、練習への出欠連絡をしたら1ポイント。実際にボールを蹴りに来たら2ポイント。そのあと飲みに行ったら、また1ポイントというように、チームに貢献した分だけ加点されるんです。

もちろん飲み会の幹事をしてもポイントがつく。溜まったポイントは集計して、毎年忘年会のときに、合計ポイント数が高い順にベスト・イレブンを選出し、ピンバッジを贈呈しているんです。とにかく参加してる人がエライという方針です。

こういう仲間とやっていると、練習で大声を出すことも発散になるし、自分より20才も年下の人たちと対等に遊ぶことができる。もちろん練習中は携帯なんて通じませんから、仕事のことはスッカリ忘れる。そうすることでメリハリもつきます。

徹夜してダラダラ仕事をしてもアイデアが生まれないのと一緒で、普段も仕事だけじゃなくてリセットする時間が必要だと思うんですね。そして脳ミソ使ってものを考える仕事ですから、絶対に血液もサラサラのほうがいいんです。

(キャプション)
中村禎さんの背番号は「21」。「年長者がエースナンバーを取るのはカッコ悪いから」と、当時FCバルセロナの年長者だったルイス・エンリケと同じ番号を選んだ。
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ビールって92%は「水」なんだ。

00モルツ92%水

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ビールって92%は「水」なんだ。

モルツは、天然水仕込み。
2000年  サントリー
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CD佐々木宏、AD副田高行、C中村禎というメンバーでの新聞15dシリーズです。キリン一番搾りの仕事を担当していたボクとしては、彼女と別れて何年か経って、別の女性とおつきあいするような、なんとも微妙な気持ちでした。でも、その昔の彼女はもう別の男とつき合っているわけだから、別に気にすることはないのかもしれませんね。プロとして、この商品のいいところをお客さんに伝えなければいけない。それが広告屋の使命です。

サントリービールは天然水を使っていることは知っていました。でも世間の人はほとんど知らないことだったでしょう。サン・アドの安藤隆さんのモルツのコピーで「天然水でつくったビールと、水道水でつくったビール、どっちがいいですか?」的なコピーの広告がありました。そりゃ天然水のほうがうまそう。そこをもっと徹底的に突いて行こうというシリーズです。

多くの人は気にしていない(だろう)缶ビールの横に書いてある文字。ビールの原材料のところ。ふつうは「麦芽」「ホップ」と書いてあります。麦芽100%じゃないビールは「米」とか「スターチ」などと書いてある。でも、調べてみたらビールの約92%は水だという事実。じゃあその「水」についても、どこのどんな「水」なのか書けばいいのに、と思ったのです。

ビールの広告なのに「水」の話をするのでブルーです。でもブルーはビールっぽくない色です。だからコピーには必ず「ビール」という単語は入れるようにしました。水の広告のような顔つきをしたビールの広告です。これはビールをおいしそうに見せる広告ではなく、ユーザーに「このビールは天然水?水道水?」と水のことを気にしてもらいたい広告でした。

矢印で「関東エリアのモルツは、丹沢水系、赤城山水系の天然水でつくっています。」というコピーを入れました。天然水がいい、と自慢するのではなく、「どこどこの水を使いました」という正直な話は、このビールに「誠実」という「味」をプラスするんじゃないかと思ったのです。こういうちょっとした部分って大事だと思うんですよね。これはたしか、掲載される地域で何パターンかつくったと思います。

第28話 ざけんなよ三井ホーム

なぜ私は三井ホームで家を建てたのか Vol.28

屋根がかかり、全館空調のダクトも回り、電気の配線が終わり、いよいよ壁板が貼られ、壁紙の最終決定しようかという矢先。出張先の上海に、進行を見に行った妻から泣きそうなメールが届いた。

「間違ったところに穴を開けられている! しかも何カ所も!」

なぁ〜にぃ〜!?やっちまったなぁ! とにかくまず、写真を撮っておけ!と。そして、帰国したらすぐ行くから、工事を止めさせておけ!と、伝えた。

コンセント穴【写真1】この写真を見れば素人でもわかる。コンセントの穴を間違えて開けてしまい、修正した跡だ。埋めた跡に4カ所ネジがある。つまり裏に添え木を当てて留めたのだろう。

空調ダクトミス2【写真2】これは何だ? 天井にある全館空調のダクトの穴とダウンライトの穴。なんで左に寄った位置からダクトが出ているんだ? 小さな穴はダウンライトの位置だ。その手前の修復した跡のある白い丸い線はなんだ?あの位置は本来ダクトが出てくる位置だ。なのになぜ、その左から出て来ているんだ? これは、最初に開けた穴が正しいのに、わざわざ間違えた場所に穴を空けてしまったということだろ?

空調ダクト修正後【写真3】これがやり直した最終型

現在の天井【写真4】これが現在

トイレに穴?【写真5】おいおい、これは何だ? これはトイレの壁で、収納の箱が入る位置だ。なのになぜ四角い穴の跡があるんだ?しかもなぜ電源コードが飛び出ているんだ?ここには電気はいらないぞ。

コンセントの位置は、高さもちゃんと図面に書いてある。照明の位置もダクトの吹き出し口の位置も、ちゃんと図面に書いてある。最終図面を何回も確認したから知っている。工事が始まってからは変更ができないから、ボクたち夫婦は何日も深夜3時4時までかかって慎重に確認したから知っている。なのに何じゃこれ?

「きちんと裏から補強しているから大丈夫です」じゃね〜だろ。
そういう話じゃねだろ、三井ホームよ。

壁紙貼ったらわからないし、強度的に問題ないから、ボコボコ穴を間違えてもかまわないってことか?ハウスメーカーはどこもこういうことするのか?ペンで手紙を書いていて間違えたらホワイト修正液で消して上から書けばいいのか?クルマをつくっていて、フレームに間違えた穴を開けてしまって、溶接で埋めておきました、外からは見えない場所ですよ、って言うのか。

三井ホームは何百、何千と家を建てているから平気なのかもしれないが、ボクらにとってはたった一軒の家なんだ。失敗したら補修すればいい、部品の板を替えればいいと思って建てているのか。細心の注意とか誠意とかはないのか。そんな不注意が許される世界なのか、とガッカリした。これは三井ホームだけのことではないのかもしれない。ふつうは施主が気づかないところかもしれない。もしこのようなケアレスミスがあっても、添え木をしてボルトで留めて、白いパテで塗ってしまえばたぶん誰も気づかないだろう。ボクが出張中で、たまたま妻が見に行って見つけた。

住宅という高額商品。住宅メーカーは豪華なモデルハウスで「ほら、いい家でしょう」と自慢するが、こういう見えない部分をどれだけ丁寧につくるかが大事なんじゃないのかと思う。人間だからミスはあるだろう。修正や補修はできるだろうが、細心の注意とか誠意を持ってつくるのがプロだろうとボクは思う。

この部分は全部やり直してもらった。もう一度壁板を剥がし、釘の穴を埋めて(それもイヤだったが)やり直してもらった。その証拠写真も提出してもらった。ホントにもう投げ出したくなったが、いまさらそれはできない。最終的にはいくらか見積りから減額してもらったが、それもボクらが受けた精神的苦痛からすると微々たるものだった。

強度的には問題の無い工程だそうだ。しかし、気持ちとして、あんなに必死で確認した図面はなんだったのか、と思う。見えない部分こそプロの腕の見せ所じゃないのか、と思う。ほんとにガッカリした出来事だった。

追伸:このブログ、三井ホームの社長にも読んでほしい。どういうコメントをくれるんだろう。たとえ読んでもノーコメントなんだろうか。しかし思うに、企業ってこういうトラブルを起こした時にどう対処するかで決まるというか、わかるというか。たとえ失敗してもその後の対応が素晴らしければファンを失わずにすむ。むしろもっとファンになるかもしれない。こういう時こそ『災い転じて福となす』なんだろうな。

広告のない電車

広告ナシ電車2広告ナシ電車1

ある日の夜の大江戸線。中吊りなど一切の広告がない車両に乗った。ステンレスシルバー色の車内は、それはそれでキレイだった。広告屋としては「なんじゃこりゃ?」とすぐ気づいたけど、乗客たちはどうだったろう。ほとんどの人がケータイを見ていて、「ああ、そういわれると、ないね、広告が」と言いそうに見えた。

電車に乗ると車内のあっちこっちに広告が貼られている「当たり前」の状況を、一旦リセットしてみるのもいいんじゃないか。「掲出すれば効果がある(はずだ)」と勘違いしている頭の中をリセットして、「ケータイばかり覗き込んでいる人たちに、どう伝えるか」を考えなおしてもいいんじゃないか。

例えば、中吊りを一切止めて、車内放送でひとこと商品名をしゃべるとか、CM音楽を5秒流すとか。その商品のタレントの声で「駆け込み乗車はやめましょう。缶コーヒーの●●」というとか。「この最終電車は○○社の提供で走っております」とか。車両ジャックじゃなくて数枚しか貼らないとか。午前中は一切なくて、帰りの時間帯に合わせた広告を出すとか。朝が缶コーヒーで夜がそのメーカーのビールとか。ターミナル駅に停車しているときに、中吊りを張り替えていく係の人を見るが、車内がすべてデジタルサイネージになれば、いろんな可能性が考えられる。ちょっとでも空いている壁を見つけて、網棚で一部隠れているような場所にまでステッカーを貼らせて掲載料をとるよりも、広告効果を考えた方法がもっとあるはずだ。いかに広告掲載料を稼ぐかではなく、いかに効果的なメディアをつくるか。

とかなんとか、広告の全くない電車にたまたま乗って、常識を疑うこと、未来は過去の延長線上にないこと、そういうことを考えるいい機会になった。

ウーロン茶を飲むことにした。

98ウーロン茶体脂肪

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体脂肪体重計を買った。
ウーロン茶を飲むことにした。

ウーロン茶は、美容と健康によい
ウーロン茶ポリフェノール
という成分を含んでいます→(推奨)

1998年  サントリー
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98ウーロン茶紫外線

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今日は紫外線にあたりすぎた。
ウーロン茶、多めに飲まなくちゃ。

ウーロン茶は、美容と健康によい
ウーロン茶ポリフェノール
という成分を含んでいます→(運動後)

1998年  サントリー
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CD佐々木宏、AD阪口正太郎、C中村禎という仕事でした。ウーロン茶はサン・アドの安藤隆さんと葛西薫さんコンビの中国シリーズが王道で、ボクも佐々木さんもその仕事はリスペクトしていました。そこで新聞の小さいスペースで商品広告を提案しよう、となりました。新聞3段シリーズ。ウーロン茶のパッケージはもう有名ですが、そこに書いてある「文字」は、ただのイメージじゃなくて実はちゃんといいことが書いてある。だけど誰も読んでいない(だろうと思った)。ウーロン茶は健康にいいという、なんとなくのイメージはあるものの、当時は誰も(他社も)そのことを伝える広告をしていませんでした。ウーロン茶の本家本元であるサントリーがそれをやるべきじゃないか、という提案でした。

これこそ「サントリーのウーロン茶じゃなくても、他社のウーロン茶でも言えるじゃないか」という錆び付いた人がまだいるでしょうか? こういう誰も言ってないこと(当時誰も言ってなかったこと)を切り取って広告する、それが一番売れているウーロン茶としての使命であり、消費者に役立つ話をきちんと伝えることは、この商品の「ブランド」になるとボクは思っています。

この広告を見て、他社のウーロン茶を買ってもいいじゃないかとボクは思います。ウーロン茶は体にいいんだ、とウーロン茶を飲まなかった人が飲むようになればそれでいい。サントリーのウーロン茶だけが健康にいいわけではありません。他社のウーロン茶にも同じ効能はあるでしょう。でも、それを広告で教えてくれたのは誰でしたっけ? その企業を気に入っていただければサントリーを選んでくれる、と思うからです。その人が、ウーロン茶ファンになり、そのうちいろいろ飲み較べてみて、好きなメーカーを決めればいい。それがサントリーだと一番いい。だけど、味の好みは広告ではどうしようもないし、どうこうすべきではないと思う。ウーロン茶ファンを増やすことも立派な広告の効果だと思うのです。味の好みまでは広告屋の責任ではありませんから。

樹木医 塚本こなみさんの言葉

明治神宮

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人生は一本の線ではない。

一日という点が連続して一本の線になる。

樹木医 塚本こなみ
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NHKプロフェショナルの「言葉」特集。樹木医という職業の女性の言葉。充実した人生を送るには、充実した一日を何日送れたかで決まるのかと。年を追うごとに月日の経つのが早く感じる。今年ももうあと3カ月ちょっとか、とか思う前に、今日一日を一所懸命やるしかない。

若い頃、「必ず手に入れるものリスト」というものを書いていた。そこには「コピーライターの名刺」とか「TCC新人賞」とか「自動二輪の免許」とか。「皮ジャン」とか「○○さんに会う」とか。これからやりたいこと欲しいもの、大小ごちゃまぜに書いていて、それをときどき見ながら、今やるべきことを見失わないようにしていた。

また、書いてみよう。「必ず手に入れるものリスト」があれば、一日一日をもっと大事に生きていけるんじゃないかな、と。